心の家路

依存症と回復についてのスタディノート

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x:memorandum:comes_of_age

成年に達する

 そのころ、現代精神医学はちょうどその幼少期を過ぎ、素晴らしい進歩をとげつつあるものとして、世界的な注目を浴び始めていた。人間の無意識の内部にある心の神経と動機との探究は、このころすでに最盛期だった。
 精神医学のいくつかの学派を代表する探究者たちの問には、この新しい発見の真の意味をめぐって、当然、かなりの意見の相違があった。一方でカール・ユングの弟子たちは宗教的信仰に価値と意味と現実性とを認めていたが、当時の精神医学者の大多数はたいてい、ジークムント・フロイトの説を固守していた。その説とは、宗教は人間の未熟さゆえの苦しみを和らげる空想であり、人が近代学問の光の中で成長したときには、もはやそのような支えは必要としないであろう、というものだった。
 このような背景の中で、それに抗して、ティーボウ博士は一九三九年に彼の患者の中に、AAによる目覚ましい回復をとげた二人の患者を見い出した。マーティーとグレニーというこの二人は、どちらもアルコホーリクとしても神経症者としても手に負えないたぐいの患者だった。AAに接触してまもなく、彼らは突然、飲まなくなった(そして永久に)。そしてただちに考え方や態度に驚くべき変化を見せ始め、博士は強い衝撃を受けた。博士はまた、ほんの数週間前まではあらゆる方法で手を差し伸べても、とりつくしまもない頑なな抵抗を示していた二人が、いま精神科医として彼らと心が通じ合うようになったことを発見した。これも、心地よい驚きだった。ハリーにとって、これらの出来事はまぎれもない事実であり、全く新しい事実だった。彼は科学者であり、勇気ある人でもあったので、この事実を正面から直視した。そして、これを診察室の中の個人的な出来事にとどめず、十分な確信を得るとすぐに同業者や社会に対して、AAに注目するように勧めた(彼の医学論文の目録を見よ)。以来、ハリー・ティーボウ博士は、自らの職業的地位の危険をかなり冒しても、AAとその効果を精神医学会に推奨しつづけた。 AA成年に達する, p.4


x/memorandum/comes_of_age.txt · 最終更新: 2015/09/18 16:26 by ragi